ジュエリービジネスの貴公子 佐藤善久です。
昨年「Tokyo Jewelers Vol.57」に寄稿した 「デジタルジュエリーの将来展望その現状と方向性」というコラムを掲載します。
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「デジタルジュエリー」 まだ聞きなれない言葉かもしれません。
しかし 確実に浸透しているのが「デジタルジュエリー」です。
では、「デジタルジュエリー」とは何か? 単純に言いますと、CAD(コンピュータによる設計)を使いデザインされたジュエリーのことを指しています。

実は ジュエリー製造の現場では10年以上前からCADでジュエリーデザインをし、光造形装置などの加工機を用いて ジュエリーの原型を作ることが行われていました。その発端は 原型費の削減と時間短縮です。取引先から渡された2次元のデザイン画から原型師が原型を起こしますが、イメージの違いなどで2・3個作ってようやく納まると言う事が日常茶飯事でした。これによる、新作製品の開発日数、開発コストは増大するばかりでした。そこで2次元のデザイン画をCADを使い立体化(3次元化)し、その時点でまずイメージの共通化を狙った「可視化」が行われました。
このような経緯で製造の現場では10年も前からCADを使った製造が行われていたのです。また、発注側のメーカーなどは希望のジュエリーが出来上がって来れば、手作りの原型から作られたジュエリーだろうが CADを使用して作成された原型から作られたジュエリーだろうが関係はないのでそれを特に強調されることなく製品化されています。ですので巷に溢れているジュエリーはかなりCADを用いて、デザイン、製造されたジュエリーである可能性はあります。
そして手作りでジュエリーを作られている職人さんが 「手作りの温かみ」を強調されるのと同じで デジタル環境でジュエリーを作っている者として そこを強調したいと思うのはごく自然の流れです。そこでわたくしが この類のジュエリーを「デジタルジュエリー」となずけ 賛同者を募り昨年8月にはデジタルジュエリー協会を立ち上げ、ジャパンジュエリーフェアや国際宝飾展にデジタルジュエリー協会として出展するにまでなりました。(現在10名の加盟)

また、mixiというSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)にもデジタルジュエリーのコミュニティーがあり現在100名以上が参加されています。以上が 「デジタルジュエリー」の生い立ちです。
また、コンピュータの普及によってCADを使いデザインし、ジュエリー製造される方が年々増えてきました。もとは物づくりの為に導入されるCADでしたが、インターネットの普及によって違う側面を見せるようになりました。単純に物作りだけでなく、コミュニケーションツールとしての側面です。以前は 同じCADソフトを使わないと相手がジュエリーのデザインデータを見ることはたやすいものではありませんでした。
しかし、テクノロジーの進化でCADデータをインターネットブラウザーで見ることのできるファイルに変換してくれるソフトなどが発売されたりしています。その様なソフトを使い特別な環境がなくてもジュエリーの3次元立体デザインを見ることが可能になってきているのです。

また、現在 ありとあらゆる産業ではCADで設計するのは当たり前になっています。そしてどの業界でも製造の為に導入したCADがコミュニケーションツールとしての一面を見せるようになってきているのです。デジタルジュエリーの場合 元々がCADでデザインされたデジタルデータですから インターネットに乗せてコミュニケーションをとるのは向いています。
例えば3次元のバーチャル空間のアバター(自分の分身となるキャラクター)にデジタルジュエリーをプレゼントします。そのデザインと同じものがリアルなジュエリーとして購入できたらどうですか?
ジュエリー離れしていると言われ始めている若者に訴えかける要素を持っています。ジュエリーではないですが、これに近いコンセプトとして ソニープレイステーション3のコンテンツ「DRESS」とプレイステーション3の専用仮想空間「HOME」との連携でTシャツなどをアバターに提供するなどの事がすでに始まっています。

<この画像もジュエリーCADデータにレンダリングしたCG画像です。>
また、ゲームソフトなどは3次元ものが多くなっていて、その3次元を表現するのがCGクリエーターですが、ゲームに登場するジュエリーはCGクリエーターが作ったものでなくデジタルジュエリーデザイナーが作ったものに置き換わるかもしれません。
そして逆も考えられます。CGクリエーターの作ったジュエリーのデジタルデータが本物のジュエリーになり製品化されるかもしれません。メディアミックスができエンターテイメント性を持つことが出来るのがデジタルジュエリーの本質なのです。
今までのジュエリービジネスが良い悪いということではなく、それと違った新しいジュエリービジネスの世界観が誕生しているのです。
そして、デジタルデータで終わらせるだけでなく リアルなジュエリーにする技術をジュエリー業界の製造業はしっかりと持っているのです。この資産を生かしていけば新たなジュエリービジネス「デジタルジュエリー」はさらに発展していくことでしょう。
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昨年8月に 寄稿したコラムですが、 その後 3D映画 「アバター」の大ヒットや「3Dテレビ」などの登場で 一挙に 3D(3次元)が浸透してきました。
さらに 任天堂 DSも 3Dになりましたし、パソコンも3D対応機種が増えました。
2008年1月1日にした 「デジタルジュエリー宣言」の世界が 現実されつつあります。
決して止まる事がない 進化あるのみの 「デジタルジュエリー」です。
ジュエリービジネスの貴公子 佐藤善久でした。
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